唐松岳山頂

 

唐松岳

八方池山荘→第二ケルン→八方池→丸山→唐松岳頂上山荘→山荘泊→唐松岳山頂→唐松岳頂上山荘→丸山→八方池→八方池山荘
年月日 2019年8月2〜3日
地域 北アルプス
標高 2696m
天気 晴れ
ひとこと お花畑が今までで最高、素晴らしい展望
 

 

歩いたコース  ▲八方池山荘〜自然研究路〜第二ケルン〜八方池▼
  

リフトの下はお花畑


お花畑と木道


最初の雪渓(木道もそろそろ終わり)


第二ケルンに八方ケルンも(トイレ)


八方池を後にする(ここから登山道)



 

久しぶりの北アルプス。歩きやすい初級コースの唐松岳を選択。北アルプスの山といっても夏の暑さは厳しい。3年前の8月、この近くの遠見尾根を小遠見山まで歩いたとき、 これでもかと襲ってくる厳しい暑さとの闘いで山歩きどころではなかったのを思い出す。

今回は少しでも暑さから体を守るために、携帯扇風機、クールタオル、塩飴などなど、とにかく準備をしっかりとしてきた。さらには土曜日は人が多そうなのでそれを避けて金曜日に歩くことにして万全の体制だ。でもいずれにせよ夏休みなのでかなりの人が歩くことになるだろう。

八方駅から八方尾根スキー場のゴンドラとリフトを乗り継いで(八方アルペンライン)、標高1850mまで一気に高度を稼ぐ(7:45〜8:15)。その間リフトでは足が付きそうなところに見事なお花畑が広がっているのを見て(写真左一番上)、これから歩く山のお花畑がとても楽しみになる。

八方池山荘に着いたら、準備をして出発(8:25)。登山道に出るや否やお花がいっぱい!やっぱり期待したとおりだ。ニッコウキスゲ、イワシモツケ、オキバボウシ、エゾシオガマ、シモツケ、キンコウカ、ウツボグサなどなど、いろんな花が次から次へと現れるので興奮しながら一つひとつをカメラに収めていく。ここのお花畑は今まで見た自然のお花畑ではトップクラスに間違いない。

最初は岩がごろごろした道を歩いていたが気が付くと木道の上だった。どうやら自然探求路の方に歩いてきたようだ(写真左上から二番目)。下界は晴れて暑かったが、ありがたいことに、ここではガスに覆われているのでそれほど暑くないし、時々涼しい風が吹くので気持いい。遠くの山はガスで全く見えないのでもっぱら足元の花に集中して木道を歩いていく。

しばらくすると木道の横に立派なテーブルとベンチが現れた。そこで休憩している人たちがいる。もう少し歩くと雪渓が現れた。そばまで来ると冷気が流れてきて気持ちがいい。ここをさらにゆるく上っていくと、第二ケルンの手前でトイレのある広場(写真左上から4番目)に到着(9:15)。尾根道を歩いてトイレの方からやってくるコースとはここで合流する。

10分ほど休憩して歩きを再開(9:25)。進行方向には第二ケルンと、その向こうに八方ケルンも見えている(写真左上から三番目)。ゆるやかに上って八方ケルンまでやってくると、このケルンには目があり、「八方ケルン」と書かれた鼻、そして簡単な地図が書かれた口があり、人の顔のように見えるのがおもしろい(写真下)。

さらに上っていくと八方池への道標が現れた(9:50)。登山道は池の方には行かないが、せっかくなので八方池が見えるところまで行ってみる。残念なことにガスで何も見えない。しばらく待つと池が向こうにうっすら見えてきた。帰りに見えるかどうかわからないので、池に下りてみることにする。

長い階段を下りて小さな雪渓を渡るとそこは白馬三山を鏡のように映すといわれる八方池。これを目的地にトレッキングする人も多いらしい。ただ今日はやはりガスのせいですぐそこの山が見えているだけ。ときどきうっすら白馬三山の一部が姿を現す。もう少し見せてくれないかなとねばってみたが、結局下のパノラマの写真がマックスだった。。。

今度は池の反対側に回ってみる。クガイソウの群生や、ワレモコウを2倍ぐらい縦長にしたハッポウワレモコウといわれる花の群生を見ながら反対側に行き、木道を上って池を後にして登山道に戻った(10:15)(写真左一番下)。「ここからは登山の装備と技術が必要です」と書かれた標識があるように、ここから登山道となり、唐松岳かそれより向こうの山を目的に歩くハイカーたちだけの道になる。

     

ゴンドラのあと兎平からリフト 黒菱平と蒲池湿原 ウツボグサと蝶(オオバギボウシ)
八方ケルン 八方池が見える(八方池はガスの中) クガイソウ(ハッポウワレモコウ)
八方池には白馬三山のほんの一部が水面にもうっすら映っているだけ

 

▲八方池〜下ノ樺/上ノ樺〜扇雪渓〜丸山〜唐松岳頂上山荘▼   
  

岩や石がごろごろしている尾根道にガスが増えてきた。ハイマツの低木の中を歩くようになり、その後ダケカンバ林が現れた(下ノ樺)(写真右一番上)(10:30)!下で高山植物が咲き乱れていたのに、それより上にダケカンバ林が。。。順番が逆なので違和感を感じずにはいられない。

「黒菱平から八方池上部付近まで、本来標高2500m以上の高山でしか見られない低木林や希少な花々が咲き、八方池上部より上になると、標高が高くなるにもかかわらずダケカンバ林が現れる。この逆転現象は特殊な蛇紋岩と呼ばれる地質によるもので八方尾根の特徴」だそうだ。

その後、尾根の南側をゆるく上っていく。ガスの中でも山の斜面にはところどころ残る雪渓がうっすら見える。ガスが引けたところで向こうのなだらかな斜面に白いお花の大群落が見える。肉眼では何の花か見えないが、カメラのズームで見るとそれはコバイケイソウの大群落だった(写真下)。

そのうちすぐ左側に雪渓、右側に樹林帯(上ノ樺)の道を上っていき、扇雪渓に到着(11:30)(写真右上から二番目)。この雪渓の隣の樹林帯には、これまでとは異なる植物が多い。オオヒョウタンボク、キヌガサソウ、ウスバスミレ、ヒオウギアヤメ、エンレイソウ、シナノキンバイなどなど。

ずっと歩いてきたので、この扇雪渓のそばで休憩をすることにした。さぞかし涼しいだろうと思っていたら、ガスが引いて木々のない岩がごろごろした広場には直射日光があたり、かなりの暑さ。雪渓の隣にいるのに、ここではなぜかひんやりした空気が流れてこない。端っこの木々の横にできたわずかな日影に腰を下ろして、携帯扇風機を使いながら簡単なお昼休憩(11:30〜11:50)。

登山道に戻り、雪の重みで横にしなったダケカンバの木々の下の道を上っていく(写真下)。少し上ると先ほどの雪渓が見下ろせるようになる(写真右上から二番目マウスオーバー)。樹林帯を抜けると今度はハイマツ林の中、次の丸山を目指して上っていく(写真右上から三番目)。シャクナゲの花も少し残っている。

小さな雪渓がまた見えてきた。周りにはチングルマとイワカガミの花が咲き乱れている(写真下)。最後に少し急な坂を上り詰めると丸山に到着(12:30)。裸の土と岩で覆われたこの広場の端っこには丸山ケルン。晴れていればここからは五竜岳や不帰ノ嶮、白馬などが見えるはずなのだが(晴天の復路に見えた絶景のパノラマ写真下)。

さらにハイマツの中を上っていくと、また広場が現れて(12:50)ガスの間から不帰ノ嶮の一部が近くに迫って見えている。復路の晴天の中ではすべてがくっきり見えて迫力満点だった(写真下パノラマ)。ここで10分ほど休憩。

歩きを再開してしばらくすると疲れがたまってきたのか、また岩の上に腰を下ろして少し休憩。周囲に咲き乱れているチングルマとイワカガミのコラボに元気をもらう。それと同時に、近くで孫らしき人と休憩していた70〜80歳ぐらいのおばあさんがとてもお元気そうで、このおばあさんからもものすごいパワーをいただいた気がする。

さあ、今日の山歩きも大詰め。10分ほど歩いたら、「迂回ルート通行止めの標識」が現れた。迂回ルートは左側に延びていて上らなくても楽にすぐそこの山頂に着けそうなルートだが、がけ崩れで通れなくなっている(写真下)。結局、アップダウンの険しい稜線を歩いていき、しばらくして眼下に唐松岳頂上山荘が見えてきた(写真右一番下マウスオーバー)。小屋にはちょうど14時に到着。

 


標高の高いところにダケカンバ林


扇雪渓(上からみたところ)


丸山へ(小雪渓)


迂回路通行止めで尾根ルートへ


ここを超えると(小屋の屋根が)

    ●はクリックして拡大
ガスの中に突入 お花がいっぱい ●標高の高いところにダケカンバ林
●コバイケイソウの群落 雪の重みでしなったダケカンバ林 チングルマ

不帰ノ嶮が少し見えてきた

迂回路にがけ崩れ 迂回路が通行止め
復路で見えた丸山からの展望
復路で見えた不帰ノ嶮と白馬岳などの迫力ある展望

 

 

唐松岳頂上山荘〜唐松岳頂上〜八方池山荘▼

  


1日目の唐松岳と不帰ノ嶮(2日目)


唐松岳頂上山荘が下に(山頂へ)


不帰ノ嶮越しに見る白馬岳方面(東方面)


天空の尾根道を歩く


リフトまでもうすぐ


 

山荘にはすでにかなりのハイカーが集まっていて、4畳の部屋に今は6人だが最悪さらに6人増えて12人になることもあると言われたが、結局6人のままだった。やはり土曜日ではなく金曜日にきてよかった。

山荘の真ん前はガスで真っ白。ガスが出ていなければ剱岳と立山などが見えるはずなのだが。でもすぐそこにある唐松岳は時々ガスが引いたときに見える(写真左一番上)。その向こうに不帰ノ嶮も見え隠れ。

唐松岳方面に少しだけ歩いていくと、斜面のザレ場一面にぽつぽつとコマクサが咲いていた(写真下)。ちょうど見ごろのようだ。

唐松岳周辺が夕焼け色に染まってきた。そこに胴長のダックスフンドのような犬が現れて、花束か何かを口にくわえて唐松岳に向かって駆けていた(写真下)。

夜遅くなって雨が降り出した。2階の部屋は暑くてむんむん状態。誰かが窓を開けてくれた。窓に近い自分は涼しい風が入ってきたのでよかったが、当の本人のところまで涼しさが届かず布団をもって別の場所に寝に行ったようだった。その後トイレに行くために1階に下りたがとても涼しく2階と大違いだった。

翌朝5時半、あまり期待もせずに外に出ると、なんと真ん前に剱岳や立山など、すべての山がくっきり見えるではないか(写真下パノラマ)!

さっそく準備をして唐松岳頂上へ。ゆっくり周囲の景色を楽しみながら上って15〜20分で山頂に到着(写真一番上)。山頂からは360度の絶景!(写真下動くパノラマ)南東には唐松岳頂上山荘とキャンプ場が小さく見え(写真左上から二番目)、西側は剱岳から遠く槍岳までもが見える(写真下)。北側は不帰ノ嶮とその向こうに白馬岳も(写真左上から三番目)。東側は山々と雲海に日が差して幻想的な光景になっている(写真左上から三番目マウスオーバー)。

頂上山荘まで下りてきたら、真ん前の剱岳等の絶景を堪能しながら、朝食(お弁当)をいただき、そのあと唐松岳頂上山荘のコーヒーカップに入ったコーヒーをいただく(写真下)。至高のひととき!

絶景を十分堪能したら、下山(7:55)。往路ではガスで周囲がはっきり見えなかった景色が今日は晴天で周囲すべてがくっきり。迂回路の楽ちんコースは通行止めなので往路に通った尾根を歩いて遠回り。だがこの切り立った尾根(写真左上から四番目)からの不帰ノ嶮とその向こうの白馬岳方面の展望がまた素晴らしい(写真下パノラマ)。

その後丸山の手前あたり(8:35)では、往路ではガスで見えなかった不帰ノ嶮や白馬岳の迫力ある展望を堪能(写真上パノラマ)。扇雪渓あたりまでくると(9:30)、上ってくるハイカーたちが多くなり、特に30人ぐらいの団体さんなどが通ると狭い道がかなりの渋滞状態になり、通り抜けるのにかなり時間がかかった。皮肉にも団体さんが並んでいる中、なんでもない緩やかな下りでなぜかずるっと滑って転んでしまった。

しかし、これだけ上ってくるハイカーが多いと、今日の唐松岳頂上山荘は恐怖の1部屋4畳に12人という混み具合になるのでは。。。

この晴天だと八方池にはくっきり白馬岳が映っているのではと期待したが、その手前あたりからガスが出てきている、復路でも八方池に下りてしばらく待っていたが周囲のガスはひかなかった(10:40)。

第二ケルンの近くのトイレまでやってくると(11:05)、今度は尾根道を下りていく。大きな石がごろごろしていて歩きにくい道や整備された階段の道を下っていき、ようやくリフト乗り場に戻ってきた(11:30)。

     
犬が空を駆けていく ガレ地にコマクサ 槍ヶ岳が見える
唐松岳頂上山荘のコーヒーと剱岳 迂回路ではなく左側の尾根へ 尾根道と南側のトラバース道

唐松岳頂上山荘の前からの展望

唐松岳山頂からの展望
山荘をあとにしてすぐの尾根から見る不帰ノ嶮とその向こうの白馬岳方面