山頂への急登

 

笠取山

作場平駐車場→一休坂分岐→藪沢峠→笠取小屋→分水嶺の碑→笠取山→水干→笠取山→一休坂→作場平駐車場
年月日 2019年5月25日
地域 山梨県
標高 1953m
天気 晴れ
ひとこと 沢沿いの気持ちいい新緑さわやかハイキング
 

 

歩いたコース  ▲作場平駐車場〜ヤブ沢峠〜笠取小屋▼
  


沢沿いを歩く(登山口)

一休坂分岐(青空の下を歩く)

ヤブ沢峠

笠取小屋(大菩薩嶺が見える)



 

テレビの山の番組で取り上げられていた笠取山。新緑の中、さわやかな沢沿い歩きに魅せられて今回は笠取山へ。

昔よりはるかによくなった道を走り、作場平駐車場(トイレあり)にやってきたときにはすでに7時になっていた。30数台の駐車スペースがすでに埋まっていないか心配だったが、運よくまだ数台のスペースが残っていた。

車道をはさんでトイレとは反対側に「水源地ふれあいのみち」の看板がある。その右側が登山口(写真左一番上マウスオーバー)(7:15)。

すぐに樹林帯に入り、道の左側に流れている沢のせせらぎとともに歩いていく(写真左一番上)。樹林帯(気が付かなかったがここはカラ松樹林帯)の下は花はあまりなく、タチツボスミレやサンリンソウなどがぽつりぽつり。

しばらくして石や岩にぶつかり踊りながら元気に流れてくる二股の水の流れが合流して一つになるところで橋を渡る。この橋を渡り山腹を上っていくと一休坂分岐が現れた(写真左上から二番目)(7:50)。往きはヤブ沢峠コースを歩くのでまっすぐ進む。右に分かれるのは、帰りに通る一休坂。

この後、沢を下に見たり、一緒に歩いたり、渡ったりしながら、明るい青空の下を歩くようになる。新緑の広葉樹林と青空と沢の流れと緩やかな上り。気持いい歩きにならないわけがない。

ミツバツツジはやっとつぼみが出てきたところだが、新緑に小さなピンク色が映える。しばらくしてヤブ沢の標識が現れた(写真下)(8:10)。

このあとも気持ちいい沢と一緒の歩きがしばらく続く。標高が上がっていくうちに沢が小さくなり水もほとんどなくなってきた。しばらくすると突き当りにヤブ沢峠の標識(8:50)(写真左上から三番目)。

葉っぱが出てきたばかりのやわらか色のカラマツ林の間から富士山が見える(写真下)。茶や萌黄色の生まれたてのカエデがお日様に当たってキラキラ輝いている(写真下)。左側の斜面にはタチツボスミレが咲いている。

しばらくして、向こうに青色の屋根が見えてきた(写真左一番下)。笠取小屋だ(9:20)。小屋の横に並ぶカラ松や桜の淡い色がきれいだ。小屋の前にはベンチやテーブルが置かれていて、大菩薩嶺方面の山々が見える(写真左一番下マウスオーバー)。

反対側にはキャンプ場もある。なんと同じ敷地に数頭の鹿が放し飼いにされている。木々には傷つけられないようにネットが巻き付けられているが、他の場所には影響はないのだろうか。よく見ると、他のものを食べないようにするためか餌付けしているようだ(写真下)。

    ●はクリックして拡大

駐車場(トイレ) さわやかな沢の流れ(橋を渡る) ヤブ沢の標識
青空と新緑と沢と ミツバツツジは蕾 カラマツ林の間に富士山
若い葉っぱがキラキラ ●さわやか新緑 エサを食べる鹿たち(木の周りにネット)

 

▲笠取小屋〜笠取山〜岩尾根▼   
  

少し休憩したら、歩きを再開(9:40)。緩やかに上っていくと、広い草原のようなところに出た(写真右一番上)。この辺一帯は木がほとんどなく、防火線になっている。雁峠分岐を通り過ぎて坂を少し上ると丘の上に「小さな分水嶺」がある(写真下)(10:00)。

「この小さな峰は、ちょうど3つの河川の分水嶺となっている。この峠の東側に降った雨は、関東平野の西部を潤す荒川となり、東京湾に注ぎこみ、西側に降った雨は甲府盆地を南下した後、富士山の西側を通り抜け太平洋に注ぐ富士川になる。南側に降った雨は東京水道水源林で磨かれ、奥多摩湖に貯えられたのち多摩川となって都民の生活用水として使用される」といったようなことが看板に書かれている(写真下)。

ちょっとした差で水の行先が全く異なるわけだ。先日車で通った奥多摩湖の水がかなり減っていたのを思い出した。都民としては南側に降ってもらいたいところだが、こればかりは。。。

ここからは展望が良く、振り返ると南側にカラマツ林があり、その向こうに富士山が見える(写真右上から二番目)。目を西の方に移すと南アルプスも見える(写真右一番上マウスオーバー)。そして進行方向には、これから上るピラミッド型の笠取山が鎮座している(写真一番上はもう少し先で撮ったもの)。

その山頂をめざして、まずはゆるく下り、復路で水干から戻ってくる道と合流する分岐を通り、山頂直下から急登が始まる。分水嶺からの防火帯がこの道を通って山頂まで続いている。

最初はキスミレがここで見られるということで探しながら上っていたが、そのうち傾斜がさらに急になり必死で一気に上まで上った(写真右上から三番目)(10:30)。道が二手に分かれていて知らぬ間に右側の道を歩いていたら最後の岩場も避けられたようだ。この急登自体はゆっくり歩いて15分ぐらい。

きつい上りの後にはご褒美が待っている。ここからは何といっても富士山や南アルプスの展望がすばらしい(写真下パノラマ)!山梨百名山の標柱はここにあるが(写真右上から三番目マウスオーバー)、ここは山頂ではなく、さらに尾根を先に進んだ樹林帯の中の目立たないところにある。

展望を楽しんだら、さらに岩尾根を先に進む(写真下)。この辺一帯はシャクナゲの木に覆われているが、まだほとんどが蕾か(写真下)、蕾さえ出ていない状態。もう1、2週間遅く来ていれば、展望だけでなくシャクナゲの花も楽しめたにちがいない。

歩きにくい岩尾根を進んでいくと、樹林に囲まれた狭いところに笠取山山頂の標識があった(写真右一番下)(10:45)。ここからの展望はあまりよくないので、そのまま通過。

樹林が途絶えると進行方向右側にいつも富士山がいる(写真右一番下マウスオーバー)。富士山が何とか見える木陰でおにぎり休憩をしたら、シャクナゲから笹に変わった尾根を富士山とともに歩く。

 


分水嶺方向に延びる防火帯(南アルプス)


●分水嶺からのカラマツ林と富士山


笠取山山頂(標柱と富士山)


本当の山頂(岩尾根の木々の間に富士山)

     
分水嶺碑 分水嶺の地図 防火帯に出た
山頂近く(山頂へと上ってくる人たち) 蕾から咲き始めのシャクナゲ 岩尾根を歩く

分水嶺で振り返ると防火線と南アルプス

笠取山山頂からの展望

 

 

岩尾根〜水干〜笠取山〜一休坂〜作場平駐車場▼

  


水干


笠取山急坂下の分岐へ


ミズナラ林(ミズナラの大木)


一休坂の大木




 

T字路までやってくると道標がある(写真下)(11:25)。今回のコースで現れる標識はどれも白い木に白い文字で書かれているので文字が読みにくい。なぜ白い木に白文字にしたのだろうか。道標の近くにくるとようやく水干(みずひ)は右方向へとわかる。

少し進むとまた道標が現れ(11:30)、シラベ尾根への道を分けて右の水干方面へ。この道標には、シカが増えすぎたため来年の3月まで捕獲を実施している、という注意書きが貼ってある。確かにこの辺もシカに食べられたのか花という花はほとんどない。

ここにはコメツガ、シラベ、トウヒなどの針葉樹の天然林が多いが看板に「土壌が深いなど、樹木の生育条件が良い場所では広葉樹との生存競争に負けるが、岩場などの厳しい生育条件のところや、標高が1800mを超える寒冷なところでは、広葉樹との競争に勝って、針葉樹の森林となる。」という説明がある。

その後、裸の広葉樹林に笹原の明るい道を歩くようになる。ぐるりと山腹をからみこんでいくと水干(みずひ)に到着(写真左一番上)(11:40)。水干は「沢の行き止まり」を意味し、多摩川の最初の一滴が染みだしている場所だそうだが、残念ながらその一滴は見えなかった、というか最近は見えないそうだ。

日の当たりのいいこの斜面で、笠取山の急登で見つからなかったキスミレのキバナノコマノツメが見つかった(写真下)。葉っぱが馬の蹄に似ていることからこの名前がついたそうだ。ここにもあそこにも。他にもハナネコノメやワチガイソウなどが咲いている。そして後ろを向けば、富士山と大菩薩のコラボが見える(写真下)。

この後、笠取山の裾を回って明るいカラマツ林と笹原の緩やかな道を下りてくると、笠取山急坂の下の分岐にやってきた(写真左上から二番目)(11:55)。往きと同じ分水嶺の丘を通って笠取小屋まで戻ってくると(12:25)。多摩川源流の水で入れたコーヒー(200円)をおいしくいただきながら一休み。

ここからは一休坂を経て作場平に向かう(12:40)。水場まで下りたら家でコーヒーを入れるための水を汲み、そのままどんどん下りていく。かなり下った沢の近くで再びキバナコマノツメを見つけた。

やがて明るいミズナラなどの自然林の中をゆるやかに下るようになる(写真左上から三番目)。沢はないが、明るい新緑の林の中の歩きも最高に気持ちいい。青空のキャンパスに、やわらか色のハウチワカエデがつくるアートはいつ見ても感動的だ(写真下)。ただ、ずっと歩いてきた道に生えている1mぐらいの高さの笹のほとんどが枯れているのが気になる。

道が広くなってベンチがあるところ(一休坂)にやってきた(13:40)。大きなミズナラの木が途中からダイナミックに折れている(写真左一番下)。さらに歩くこと10分で、往きに通ったヤブ沢峠コースからの道との一休坂分岐までやってきた(写真下)(13:50)。

ここからはまたさわやかな沢のせせらぎを聞きながら元来た道を駐車場まで戻っていった(14:20)。

     
T字路の標識(シラベ尾根分岐) 広葉樹と笹原の道 キバナノコマノツメ(距が短い)

ハナネコノメ(ワチガイソウ)

●大菩薩と富士山 沢に沿って下る(水場)
●美しいハウチワカエデ ハウチワカエデ(ブナ) 一休坂分岐