ウスタビガの繭

 
高倉山・金剛山 藤野駅→秋川橋→秋山川橋→高倉山→天神峠→金剛山→葛原神社→藤野駅
年月日 2013年2月24日
地域 藤野町
456m (金剛山)、379m(高倉山)
天気 晴れ(風強い)
ひとこと 野外環境アート作品と自然のアート作品
 

 

歩いたコース  ▲藤野駅〜高倉山山頂▼
  


秋川橋(秋山川橋)

木々と空

永遠と続く階段状の道(見晴し台)

高倉山山頂(気持ちのいい道)

 

大きなラブレターが山腹にある町、藤野。陣馬山などに行くための拠点としても知られているが、藤野町自体にも冬のハイキングに最適の低山がいくつかある。町のあちこちに野外環境アート作品があるのでそれが見られるのも楽しみのひとつ。

前回は秋川の東側の宝山、金剛山をぐるりと歩いた。今回は西側の山々(西側にも全く同じ名前の金剛山がある)を歩く。

藤野駅を出発して(9:00)日連大橋にやってくると、風が急に強くなる。山の上もこんな感じなんだろうか。お天気はとてもいいのに。。。スリーエフのコンビニまで歩き、ここでお昼のおにぎりなどを買う。コンビニの手前(角には警察署がある)の道を右に下りていくと、秋川橋が現れる(9:30)(写真左上)。

ふわふわ感のある冬山に囲まれた湖のような景色はなかなか美しい。向こう側の川岸にはサギが数匹いる。橋を渡り、川沿いの車道を歩いていくと、三角帽子のようなものが3つ並んだ野外環境アート作品が目に入る(9:45)(写真下)。車道は大きく右に折り返しているが、標識どおりまっすぐ芸術の道に進む。

5分ほどで標識が示す芝田方面の道路(左側の道)を下りていく。フラワーガーデンを過ぎると、「高倉見晴を経て天神峠」の標識に従って林の中を歩く。木々の間から秋川がちらちら見える。大きな木の根っこがむき出しになって斜面にへばりついている。その向こうに根こそぎ斜面から崩れ落ちてきそうな木々も。この後、高倉山の標識に沿ってまっすぐ進む。左側に広々とした河原を見ながら歩いていくと秋山川橋(10:00)(写真左上マウスオーバー)。橋を渡らずに手前の山をジグザグと上っていく。ここからが登山道。

やがて森の中に入り、谷のようなところを回り込んで上っていくと明るい森に出る。上を見上げれば真っ青な空をキャンパスにして裸の木々が枝で模様を書いた美しい自然のアート(写真左上から2番目〉、そして足元はフカフカの落ち葉の道。陽だまりの中、この道を歩く - これこそが冬山ハイキングの醍醐味だ。

やがて階段状の上りになる(写真左上から3番目)。この階段状の道が意外と長い。途中木の枝に泥の塊のようなものがいっぱいくっついているのを発見。前回の藤野、宝山・金剛山歩きのときもよく目にした光景だ(写真下)が、ネットで調べると、どうやら「細菌類による菌えい」らしい。永遠と続くかのように思われたこの道を上ること15分、見晴し台に到着(10:35)(写真左上から3番目マウスオーバー)。ベンチが1つ置いてある。木々に葉がない冬はここからの展望も悪くない。

ここから気持ちのいい尾根道を20分足らず歩くと高倉山山頂(10:50)(写真左下)。ここにもベンチが1つ。

     
日連大橋から西側の景色(秋川にサギ) 芸術の道方向へ(野外環境アート作品) フラワーガーデン(芸術の道行き止まり)
河原 気持ちのいい明るい山道に 菌えいがついた木々

 

▲高倉山山頂〜金剛山山頂▼   
  

高倉山山頂から少し歩くと、「山の目」の標識がある。野外環境アートの1つだが、これは山を下りてからのお楽しみ。目を遠くに向けると陣馬山が見える。カメラのズームを通すと茶店とあの白い馬が見えた(写真下)。

天神峠の標識に従って進むと鉄塔(写真右上)が見えてくる。その向こうに高倉見晴し(11:05)(写真右上マウスオーバー)。テーブルとベンチがあるので、ここで早めのお昼を食べる。ただ、時折強く吹く風の通り道になっているようで落ち着かないため早めに終えて歩き再開。ここからは丹沢方面の山々が見える。

どんどん下っていくと、車道に出る。車道の北側の脇には雪がまだ残っている。ここが天神峠(11:20)(写真右上から2番目)。左に少し歩くと反対側に金剛山入口がある。階段状の道を上っていくと尾根に出て、また気持ちいい尾根歩きが始まる。

あれ!?葉が落ちた低木に緑色の袋のようなものが1つぶら下がっている(写真右上から3番目)。親指ぐらいの大きさ。裸の木に緑色のものがぶら下がっているのでとても目立つ。よく見ると葉っぱなどで大雑把に作られたものではなく、とても精巧に作られている。もう少し歩くとまた見つけた。今度は2つぶら下がっている。この後また1つ見つかった。

不思議なことに、どれも同じような低木の同じぐらいの高さの細い枝に大体同じ大きさと形のものがぶらがっている。袋の片方についた紐が枝に沿って延びてきて先の方で紐と枝がくっついている。これは一体何なのか、なぜこのようなところにぶら下がっているのか!?

後からネットで調べたところ、なんと「ウスタビガ」という蛾の繭とのこと。「4〜5月に卵から幼虫となり、6月中旬〜下旬に繭、11月ごろに羽化して蛾になるそうです。雌が羽化すると、すぐに雄が飛んできてその場で交尾をし、雌は自分が出てきたばかりの繭に卵を産み付けます。羽化の季節が遅くすぐに冬を迎えるので、あわただしく産卵して一生を終え、卵はそのまま越冬するのだそうです。 」ということで、今見ている繭は空き家。産み付けられた卵のようなものは見当たらない。

「ふ化から繭を作るまでだいたい60日前後かかる」という。時間をかけて作ったためか、この自然のアートは美しい。蚕以外の自然の繭を見たのはこれが初めて。東北のある地域ではこの繭を魔よけとして赤ちゃんの産着に縫いつける風習があったらしく、人間の生活とも深い関わりがあったようだ。

そのうち見晴し台(11:45)(写真下)に着き、先ほどあわてて食べたお昼の続きを食べる。ここでも時折強い風が吹くのでささっと終わらせると、逆方向からハイカーが3人やってきた。この人たちが今日最初で最後に出会うハイカーとなった。その後下って上り返すと金剛山山頂(12:10)(写真右下)。

 


鉄塔(高倉見晴しでお昼)


天神峠に下りてきた(今度は金剛山へ)


ウスタビガの繭(ここには2つも)


金剛山山頂

     
陣馬山が見える(山の目の標識) 気持ちいい尾根歩き(丹沢方面の山々) 見晴し台(展望)
菌えい 落ち葉が黄金に輝いて美しい 金剛山山頂付近からの展望

 

 

▲金剛山〜葛原神社〜藤野駅▼
  


真っ青な空と枝!(雪道)

ここにもウスタビガの繭

山の目(藤野の町)

 

白い柵を伝って下りていくとまた緑の繭が見つかった。誰かが袋を押しつぶしたのかへこんでいる(写真下)。大きく開いている上の穴からのぞいてみるとやっぱり空っぽのようだった。

葛原神社への指標のところで右に曲がり、トタンの柵の道を下っていくと、北側が今回恐れていた雪道になっている(写真左上)。慎重に下りていくとそのうち雪はなくなり一安心。

また繭を見つけた!これで何個目だろうか?今度は細い枝がこの繭の重みのせいかしなっている(写真左中央)。トタンの柵をどんどん下りてきたところにまた1つ。

葉っぱが全くないところに緑の袋が1つ垂れ下がっているので遠くからでも見つけやすい。これが羽化する前だと葉っぱに隠れてわかりにくいだろう。ちょうど落葉のころに羽化するようになっているのは、自然と一体化している証拠。自然と歩調を合わせていないのは人間だけだ。

やっと里まで下りてきた(12:50)。ここからは芸術の道となっていて、ところどころに野外環境アート作品が置かれている(写真下)。のどかな畑の中を通り、車道に出て葛原神社(写真下)を過ぎて少し歩いたところで振り向くと山の目が見えた(写真左下)。山の上で「山の目」の標識があった場所だ。ちょうど枯れ木が毛のように見えて、大きな怪物のような生き物がこっちを見ているようにも見える。

シュタイナー学園を過ぎて、本松山という小さな山を回りこむように作られた車道を歩いていると、葉の落ちた雑木林の中にまたあの繭を見つけた(写真下)。ここに1つとあそこにも。羽化するまでの環境としてすぐ隣が車道でも関係ないのだろうか。

山の北側の陰になったところはまだ雪がかなり残っている。ラブレターが置かれている場所まで上っていきたかったが階段が凍っているので断念した。そのまま橋を渡って藤野駅まで戻っていった(14:10)。

     
へこんだ繭(上から見ると) 葛原神社への標識(トタンの柵の道) 里に下りてきた(冬を越した白菜?)

葛原神社  野外環境彫刻 車道の横にもウスタビガの繭