花と緑と海の礼文島
 
礼文島
8時間コース

スコトン岬→ゴロタ岬→鉄府漁港→西上泊
→召国分岐→樹林帯→アナマ岩→宇遠内

年月日 2010年9月5日
地域 北海道礼文島
N/A
天気 曇りのち雨
ひとこと 8時間コース完歩、まだまだお花いっぱい
 

 

歩いたコース  ▲スコトン岬〜ゴロタ岬〜西上泊▼
  


スコトン岬(スコトン神社)


花畑(枯れたエゾニュウたち)


ゴロタ岬からの展望(ゴロタ岬)


砂浜に降りる(鉄府漁港)


西上泊と澄海岬

 

フェリーターミナルがある香深(かふか)に近い民宿「はな心」からローカルバスに乗り、礼文島の東海岸を北に走る。約一時間後、日本最北限の地、スコトン岬に到着(写真左上)。この最北限(最北端は宗谷岬)の地から、ハイキング8時間コースが始まる。バスからはハイカーが数人降りたはずだが、我々より先に出発したためか、この後会うことはなかった。

礼文島に到着した前日は晴れていたのだが、かなり暑かった。今年の夏はここでも異常らしい。今日の天気は曇りで暑くも寒くもなく、ハイキングにはちょうどいいかも。ただ雨には降られたくない。。。

スコトン岬の北に浮かぶ無人島のトド島(冬季はトドの楽園となる)を眺めてからハイキング出発(7:50)。最初は車道を歩く。車道の両側はすでにお花畑が始まっている。さすが花の島、礼文島。エンドウの花に似た紫色のヒロハクサフジや白やピンクのキタノコギリソウが目立つ。茶色く立ち枯れたエゾニュウの姿は滑稽に見える(写真左上から二番目マウスオーバー)。遠くにスコトン神社の赤い鳥居が見えたら(8:10)右へ曲がる。(花は「お花畑に行く」をご覧ください。)

スコトン神社に近づいてみると、真っ赤な鳥居の向こうの神社の建物はとてもコンパクトなものだった(写真左上マウスオーバー)。しばらくすると海沿いの道と丘の道に分かれるが、民宿の人におしえてもらったとおり、花の多い丘の道を歩く。礼文島では花の多い6、7月にはなんと約200種の花が咲き、この時期には50種類ぐらいに減るそうだ。花が少なくなった時期でもこんなに咲き乱れている(写真左上から二番目)ということは、最盛期はどんな眺めなのだろう。

進行方向に緑のなだらかな丘(写真下パノラマ)を見ながら、観光バスも通る広い道をゆっくり歩く。左側に利尻富士が顔を出している。時折日が差したり、雨がパラパラ降ったり、今日の空は忙しそうだ。というか島の天気は変わりやすいので、いつも雨具が必要なのだとか。

ゴロタ岬への上りの道から見下ろす海はエメラルドグリーンで非常に澄んでいる。草原を上りつめるとゴロタ岬に着いた(写真左上から三番目マウスオーバー)(9:30)。振り返るとこれまで歩いてきたスコトン岬までの眺めが一望できる(写真左上から三番目)。この辺は木が全くないので、なだらかで美しい緑の地形がそのまま楽しめる。

ここからは草原を歩きながら砂浜に向かって降りていく。丸太の長い階段を下り(写真左上から四番目)、砂浜に平行に走る道をしばらく歩いたら砂浜に出る(10:15)。砂浜には穴の開いた貝殻(写真下)がいっぱい。その穴がまるで機械で穴を開けたように丸くて精巧なので、ツメタガイという貝が穴を開けたと言われても信じられないくらいだ。

砂浜に描かれた錨マーク(かもめの足跡)や他のハイカーの足跡をたどりながらしばらく歩くと鉄府(てっぷ)漁港に着く(写真左上から四番目マウスオーバ)(10:45)。砂浜から続く道がどれなのか迷ったすえ、わざわざ海側の道を選んだがそのうち別の道と合流したので、山側の道をそのまま来てもよかった。

再び上りが始まる(10:50)。一山超えて下りてきたところに西上泊神社がある(11:05)。こちらも非常にコンパクトな神社。そしてその向こうに広がるのが西上泊(にしうえんはく)の町(写真左下)。30件ぐらい家が並ぶこじんまりとした町。鳥居をくぐって出た道路を右手に下っていくと駐車場のところにトイレとお店がある。ここで休憩(11:10)。

実はこのコースの3箇所で宿泊中の民宿に電話を入れることになっている。体力や天気のことを考慮して4時間コースにも変更することができるこの場所で、引き続き8時間コースを歩くことを民宿に伝えた。お花に時間を費やしすぎたため、ここには予定より少し遅れて着いたが、体力には問題なかったから。ただ、この後、雨がぱらぱら降ってきた。いやな予感。。。

   
   
民宿の近くからバス(「はな心」) 日本最北限の地スコトン岬へ(トイレ) 最初は車道歩き(三匹の猫)
利尻富士(観光バス) きれいな海(トド島展望台) ゴロタ岬(草原の中を歩く)
穴あき貝(穴あき貝のビーチ) この錨マークの足跡は? 西上泊のトイレ(お店)
 
なだらかな丘(左側に利尻富士が見える)

 

▲西上泊〜召国分岐〜樹林帯▼  
  

少しだけ休憩したら、すぐまた歩き始める(11:25)。(あせっていたため澄海岬に寄るのを忘れてしまったが、ここの海はすごく綺麗だそうだ。)

ここからの道がちょっとわかりにくい。漁港の方に歩いて、行き止まりの手前の道を左に。そこには小さな橋があるということだったが見つからない。ちょっと不安だったが8時間コースの指標があったので安心。西上泊の町を後にして再び丘(山?)へ。

少し上りがあった後、山の斜面を歩くと山の中に入る。とはいっても木が全くない一面なだらかな草原。樹林したばかりの場所を保護するために木で囲んでいる所が遠くに見える。その昔、倭人がこの島に住むようになるまでは原生林が映えていたそうだが、燃料を使うことから火事が起こり、それでほとんどの木が燃えてなくなってしまったそうだ。

なだらかな草原をしばらく歩くと、「8時間コースはここから先車道がない」という指標が現れた(写真上マウスオーバー)(11:40)。しばらくすると一人のハイカー(西洋人)がこちらに歩いてきた。今日道中で初めて会うハイカーだ。先の様子を尋ねてみると、「あっちは雨、風強い、好きじゃない、だから戻ってきた」と日本語でおしえてくれた。目的地方面の空があやしげだ。不安になってきたが、とりあえず行けるところまで歩くことにした。

召国(めしこく)分岐にやってきた(写真右上から二番目)(12:10)。間違えても召国方面には行かないようにと民宿の人にも言われた場所だ。しばらく歩くと、今度は一人の日本人男性に会った。カッパは着ていないが濡れたようすで、「かなり降られたので気をつけたほうがいい。雨はもう抜けたかもしれないが。」と言っていた。今歩いている場所でも先ほどから時折パラパラしているのでカッパの上をすでに着た状態だ。とりあえず覚悟はしている。

やがて草原地帯が樹林帯になった(12時半頃)(写真右上から三番目)。そのうち、とうとう本格的な雨がやってきた。伸び放題の野草たちの葉っぱも濡れて光っている。道まで覆っている濡れた野草の合間を歩いていると次第に靴の中が濡れてきた。そして靴が鉛のように重くなった。この古いスニーカーではなく、登山靴を履いてくればよかった。。。カッパのズボンも履けばよかったがもう遅い。

周囲はガスでどんどん白くなっていく。時折、足元の花に足を止めつつも、早歩きで進む。進行方向の右側が真っ白で何も見えないところは地図によると、崖の部分にちがいない。見えないと余計に怖いのでどんどん進む。そのうちお腹がすいてきたので、とりあえず道に立ったまま木の下で、民宿で用意していただいたおにぎりを一個だけほおばる。そしてまたどんどん歩く。

「アナマまで約1km、ウェンナイまで約2km」とかかれた標識(写真下)を見てさらに10分ぐらい歩くと右側に開けた場所が現れた(写真右下)(13:40)。晴れていたらここでランチをする予定だったのに。ここからはどんな景色が見えるのだろうか。ガスで見えないのが残念。

 
草原を歩く(指標)


間違えても召国には行かない(空があやしい)


樹林帯に入る


開けた広場に出る
   
   
丘の斜面を歩く(木で囲まれた樹林) なだらかな草原を歩く ガスがこんなに
エゾオヤマリンドウ(ダケカンバの葉) きっと向こうは崖 指標
 
そろそろ樹林帯に入る

 

 

▲アナマ砂すべり〜アナマ岩〜宇遠内〜8時間コース終了地点▼
  

雨雲がかかっている(ここから急斜面に)


アナマ岩付近の急な坂(階段)


海岸を振り返る(宇遠内)


再び山を歩く
 

海が見下ろせるところまでやってきた(13:50)。気がつけば雨は止んでいた。海に向かって右側の丘が鉛色の雲に覆われている(写真左上)。我々もその雲の端っこの方を通ってきたのだろう。

ここからは少しずつ下っていくとアナマ岩海岸に下りる急斜面が待っている(写真左上から二番目)。これが、いわゆるアナマの砂すべりのことか。。。誰かが滑りながら下りた跡も残っているが、よく見ると左側にジグザグの階段があるのでその階段で難なく下りた。

ごつごつ岩の海岸に出た(写真左上から三番目)(14:15)。ここからは岩だらけの海岸を歩く。雨の後だけに滑りやすくなりがちな岩だが、複数の石が固まってできたような岩(写真下)で意外と滑りにくい。砂浜が非常に狭く波が迫ってくる地点では、波が引いたときにタイミングよく走り抜けようとしたが、波のほうが早く戻ってきため足が水につかってしまった。すでに雨で靴の中までびしょぬれだったので別にいいのだが。

歩きにくい海岸を35分ぐらい行くと、やっと民家が見えてきた。ここが宇遠内(うえんない)(写真左上から三番目マウスオーバー)(14:50)。公衆トイレはバイオトイレでとても快適だった。ここでは携帯電話も通じないということで、お店で電話をお借りして民宿に宇遠内に無事に着いたことを報告した。

ここは遅くても16:00少し前までに出れば大丈夫ということで、ビール(おつまみに蒸しうにがついてきた)を買って残りのおにぎりをいただき少し休憩。ここまで来れば一安心。あとは峠を越えるだけ。宇遠内は全部で数件しか家がなさそうだ。しかもここには車道は通っていない。交通手段は船なのだろうか。

8時間コースは、98年まではここから先もずっと海岸を歩いて「元地」というところまで行くコースであったようだが、落石、滑落、悪天時の高波などで危険なため現在は通行禁止になっている。その看板が立っているところ(写真下)を左折し(15:15)、また山に入っていく。

そのうち樹林帯を歩くようになる。30分ぐらい歩き、最高地点と思われる地点で携帯のアンテナが3本立ったので、そこが峠と判断して民宿に電話をした。今度はこの道を下った先の駐車場まで迎いに来ていただくための連絡。そこがこのコースの終点になっている。

この後、シラカバの木が目立つ樹林帯の中をゆるやかに下っていき、道路が広くなってから(16:25)少し歩くと舗装道路に出た(16:35)。車道の終点にもなっているこの広い場所(写真下)で待っていると、民宿のお迎えの車が見えた。天気はすっかり晴れていた。

礼文島ハイキング8時間コースは、お花畑あり、草原あり、砂浜歩きあり、山歩きあり、海岸の岩歩きありで変化に富むコースだった。途中で雨に降られ、あまり休憩をすることもなく8時間歩き続けたが、山歩きと違いアップダウンもあまりなかったので楽しく歩くことができた。

民宿「はな心」では、宿泊者が8時間コースを歩く場合はコースの詳しい説明があり、ハイカーは上記の3地点で電話連絡することになっている。そのおかげで無事に完歩することができたと思う。

   
海岸の大きな石や岩 かもめ(海岸の石の上を歩く) ここから左折へ
落石注意の場所 おんぶバッタ(白樺林)ここまで山道(少しして終点)
 
ハイキング以外の礼文島(桃岩展望台など)と稚内
富良野:風のガーデンや森の時計にも行ってきました。
美瑛:波を打つような丘にパッチワークは絶景!